5 自立活動の指導
視覚障害児童生徒に対する自立活動の主な内容には、次のものがあります。
5−1 障害の理解・受容、生活リズムの形成
弱視児は、目を長時間使用すると疲労しやすいので、学習の展開には配慮を要します。また、目の使用によって視力の低下する眼疾もあり、過激な運動又はショックによって失明することもありますので、十分留意しながら指導します。
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視覚障害児童生徒に対する自立活動の主な内容には、次のものがあります。
弱視児は、目を長時間使用すると疲労しやすいので、学習の展開には配慮を要します。また、目の使用によって視力の低下する眼疾もあり、過激な運動又はショックによって失明することもありますので、十分留意しながら指導します。
教材によって視知覚が困難な場合は、弱視レンズや拡大読書器の使用に慣れるようにします。また、必要に応じて教材の文字を拡大したり、拡大教科書を使ったりします。
主なポイントは次のとおりです。
白杖を使っての単独歩行の技能の習得も大切ですが、迷った際に一人で解決できる力を育てることも目標となります。
歩行指導では、周囲の環境と自分の位置を把握する力と、安全で能率的に移動する力をバランス良く形成していくことが大切です。校内での移動については、最初に校内の位置関係をじっくりと時間をかけて指導し、頭にイメージできるようにします。そうすれば、時間はかかりますが、一人でできるようになります。
点字は、点字用具(点字盤、点字タイプライター等)を用いて点字用紙に打ちます。読む場合は、打たれた凸字を指先で触読します。点字は、普通文字(墨字)を読むことのできない視覚障害者にとっての文字であり、学習やコミュニケーション・思考を深める手段として日常生活に必要なものです。
点字導入は、学齢の児童だけでなく、視力低下によって墨字から点字に切り替える場合や中途失明の場合などにも必要となります。そのため、言葉や文字を知っているか、墨字を使用した経験があるかなどによって、導入方法が異なります。文部科学省から出された「点字学習指導の手引き(改訂版)」などを参考に、指導方法を工夫することが大切です。
最近では、パソコンの発達により、音声パソコンを使ってたくさんの情報を取り入れたり、簡単に普通文字を点字に直すことが出来るようになっています。
視認知を正確にし、視経験を豊富にして確実な知覚と行動がとれるように指導します。そのため、目と手の協応動作訓練、認知力を高める訓練、視経験の拡大及び読字訓練等を行います。
クロック・ポジションとは、方向を時計に例えるもので、正面を12時、右を3時、真後ろを6時、左を9時とします(食事の時は、正面手前が6時です) 。 「1時の方向に電柱があります」などと使います。
弱視者にとって一番怖いのは上下方向の移動です。階段の水平部分と垂直部分の色がよく似ていると段の位置が分からず、とても怖いそうです。
階段の前後には点字ブロックを設置したり、階段の角を違う色で塗ると分かりやすくなります。廊下の色と壁の色が似ている場合など、廊下の中央に線が引かれていると歩きやすくなるようです。視覚障害児教育の専門性は、教師と子どもとのかかわりの中で1)「見えない」2)「見えにくい」ことを的確に把握できるかどうかで決まります。どちらの場合であっても、それらを補うための専門性のある教育的配慮を行っていく必要があります。